高校低学年向け教科書検定結果。


3月29日に、2007年度から使用される高校教科書の検定結果が発表になりました。
今回の検定結果におけるトピックスを簡単に上げると…

  • 理数系教科を中心に、前回の検定で削除された「発展的内容」の多くが(「発展」との断り付きで)復活。
  • 竹島」を「日本領」と明確にする方向での検定意見が。
  • (同じ教科書会社でもレベルを分けて複数の教科書を作っているわけだが)教科書間でのレベル格差が広がった模様〜一番難しいものはより難しく、一番簡単なものはより簡単に〜

こんなところでしょうか。


以下、ブログ担当(寺西)が個人的に思うことなんですが…
いつも教科書検定の報道を見るにつけ、
「教科書に書いてある、書いていない、もそうだけど、“その教科書を用いてどう教師が教えていくか?”ということにもうちょっとスポット当ててもいいんじゃないのかな?」
と感じます。


「発展的内容」が復活する、という事実で、文科省の方向性は少しわかるわけですが、そもそも進学校では、「発展的内容」の記述がなくても先生が自分の裁量で教えているわけです。
竹島にしても、(歴史的考察についてのコメントはここでは避けますが〜私は歴史の専門家ではありませんので)韓国から遺憾の意が表明された、ということはかなり記事になっているようですが、「竹島問題を記述する教科書が増えた」(つまり、先生が授業中に取り扱う機会が増えた)ということについて触れられている記事はそこまで多くないんですよね。
竹島をめぐり、日韓両方の考え方を紹介し、歴史について思いをはせることは、いろんな意味で勉強になると思うんですよ。なので、教科書会社の試みとしては、いいことなんじゃないですかね。


また、「高校生のレベルが下がったからより簡単な教科書を」という発想はどうなのでしょうか?
教科書はあくまで、先生が教えるための「手段」を提供するにすぎないわけですから…
教科書で難易度を操作するのではなく、先生自身の「教え方」、また、誤解を恐れずに言うならば、先生の教える能力的なものに(生徒のレベルが)依存する部分も大きいと思うのですけど…


いわゆる「教師力」の報道は、一人の教師がスキャンダラスな事件を起こしたときだけに報道され、いつも“なんだかなあ…”という気持ちになります。
検定結果は結果として報道すべきとは思いますが、これを機会にして、「このような教科書を使って現場の教師たちはどう教えるか?」なんか、特集してもいいと思うんですけどね。


そうすれば、頑張っている教師にはエールになり、その逆の教師には奮起を促す材料になり、報道をキッカケに(全体の)教師力も上がるのではないでしょうかね…。