薬学部6年制時代の進路決定(4)

大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター



■理系の進学先の一つとして、薬学部を考えるということではなく、
「薬剤師になるか、ならないのか」
が薬学部の6年制・4年制を選ぶ重要な決め手となってきます。
それを、高校生のうちから将来を見据えて、選択をしていくというのは、なかなかハードな作業ですね。
最初から6年間というのは、結果として大学院に進んで6年間になるのと違って、心理的に長く重く感じることでしょう。今の皆さんは、制度の変わり目に翻弄されている、というと大げさでしょうか?
学費の面などで迷う方もいるかもしれません。


■先のことを考えて、目の前の何かを選ぶというとき、私がいつも思い出す言葉があります。それは、
「何か一つを選ぶということは、そのほかのいっさいの可能性を手放すことだ」
ということ。これは、大学浪人をしていた予備校での英語講師の言葉です。
彼は続けます。


「私が皆さんくらいの年のころは、『自分は特攻隊員として、華々しく散るのだ』ということだけを考えていました」


■この英語講師の言葉を思い出すと、自分の目の前にある選択肢と正面から向かい合う大切さに、改めて気づかされます。
そしてもう一つ。
選択肢を自分の中に、自由に持つことは、かけがえのないことだということ。
その自由な心を、決して忘れてはいけない。
自分で選べることの幸せを忘れてはならないと、彼自身の体験から、私は学んだのです。


■薬学部6年制はスタートしたばかり。先にどんな未来が待っているのか、確実なことはまだ誰にもわかりません。
しかし、この制度と向かい合い、“薬剤師”の道をどう選ぶか、それは周囲と相談しながらも、高校生の皆さんひとりひとりが決めることです。
この選択に向き合うことが、これからの薬剤師、薬学の専門家に求められる最初の一歩なのかもしれません。


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