矛盾を抱えながら、思いやりを持ちながら(1)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


みなさん、こんにちは。
9月になりました。新学期が始まりましたが、夏休みモードの切り替えはできていますか?
気を引き締めて、がんばっていきましょう!


さて、今回は介護・福祉関係の仕事を中心に考えてみたいと思います。


高齢化が進んでいる現在ですが、みなさんの祖父母の方々はお元気でしょうか?
私自身は父方の祖父母は小学校のときに、母方の祖父はちょうど大学受験を控えた年の秋に亡くなっています。
特に父方の祖父は祖母を先に亡くし、一人になってしまったので引き取って同居しました。印象に残っていることはたくさんあります。
いわゆる今で言う「認知症」になっていました。食事をし終わった後も、
「ワシは今、ごはんを食べたかね?」と何度も聞かれたし、
学校の下校中、家とは反対方向に歩いて行く祖父を見かけて連れ戻したことも、1度や2度ではありませんでした。ときには怪我をしていることもあり、「見つけてくれて助かった」などと言ってくれたこともあります。
父は普通のサラリーマンだったため、家で祖父を看るのは主に母の役目でした。いろいろ大変だったようで、両親の言い争いもたびたびありました。


今、母方の祖母が、軽い認知症も煩っており、家族との同居が難しいため介護施設に入居しています。都内にある施設に私も母も、たびたび訪れるのですが、父方の祖父と同居していた時代を思うと、老人介護を取り巻く環境は急速に変化しているなあと思わずにはいられません。
高齢者の人口の増加、介護保険のスタート、さまざまな機能を持った介護施設の登場などなど。介護する人、される人(というよりは、家族)の意識も。


先日、介護施設が家族を招き、あるイベントを開きました。私は行けなかったのですが母がそのことの感想を送ってくれました。


「『納涼祭』と銘打ったその催しは、介護スタッフの方が粋な浴衣姿で迎えてくれて、日本舞踊や落語、ソーラン節の大漁踊りなど賑やかに行われました。特にスタッフが中高年組と若者組等とおどけて分けながら、たくましく楽しく何度も踊ってみせてくれて、あらためて、『この施設に親御様を入居されているご家族の方々、我々はこんなに元気に仲良くここで働き、介護を一生懸命やっておりますからご安心してください!』とメッセージを込めていることを強く感じました」


母は、祖母のことはいろいろ心配だけれど、介護施設なりの様々な工夫や段取りに関して、「家族はそれを含めて見守っていかなければならない」と言っていました。一方で、自分の実の母なのに、義理の父を看取ったようにはできない自身の現状や思いに、母自身が混乱しているようでした。


「世の中の変化もあるけれど、常に現状を受け入れる姿勢がどれほど大切かを、知らされました」という母からの言葉が、同じ娘である私に、ちょっといろいろ考えさせたのです。


〜続きは、明日に!〜