俳優の卵から教わったこと(1)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター



みなさん、こんにちは。
明日から10月。勉強にスポーツに気合いの入る? 秋本番です。集中して取り組んでいきたいですね。


さて、改めてこのブログではさまざまな職業について紹介しています。
「大学受験の先にあるもの」と題しているように、中学・高校・大学という進学の先に、職業選択というものが待っている、という視点から伝えたいと思って始めました。
今、さまざまな分野で活躍している人の声や姿を伝えることで、中学・高校生の将来の目標になればいいなあと思う一方で、「社会・世間・状況は刻々と変化している。まだ社会に出る前の段階でこういう情報を知って、どのくらい参考になるのかなあ?」という思いを持ちながら書いていることも事実です。


というのも、職業選択に関しては受験勉強と違い「目標を明確に定めて、それに向かって努力する」ことで達成できるとは限らないからです。
「●●になりたい!」という夢や目標があるならば、それに向かって努力することは、必要不可欠です。しかし、努力が公平に報われるとは限らない。それでも「夢をあきらめないで。目標に向かって努力して」と言い続けることは、正直しんどいです。言われる方、聞かされる方も、同じかも、いやそれ以上かもしれませんね。


そんなとき、夢に向かって歩み続けるある友人からメールをもらい、私自身とても励まされました。
私事で恐縮ですが、紹介したいと思います。


「元気ですか? 今度お芝居に出ることになりました。もし暇だったら来てもらえないかとお誘いです」


舞台の詳細が書かれたメールの案内を見ると、どうやら彼は主役級?のよう。「おお、たいしたもんだ」と思い、スケジュールの都合がつきそうだったのでOKの返事を出しました。
「ありがとう! 1枚とっておくね。がんばるよ」という返信メールをすぐもらいました。


彼は現在、ある劇団で俳優の卵としてがんばっています。
知り合ってもうかれこれ10年になろうかという人で、年は私より4つ年下です。


知り合った当時は彼はまだ学生でした。いわゆる二部の学生で、今から思うと学年も何年かだぶっていたようです。


4人兄弟の末っ子の彼は、兄姉が地に足をつけた仕事をしており、両親も自営業を営んでいるとのこと。卒業後、父親のすすめもあって地元の不動産業で働いていました。
「ずっと好き勝手やってきたから、親を安心させたい」という気持ちもあったようです。
でも、将来についてもいろいろ悩んでいたようで、彼の勤務先が、私の住んでいる近くだったというのもあって、いろいろ話を聞いたものです。


「小谷は働いていて楽しい? やりがいがある?」と、よく聞かれたものです。
私自身はその頃、すでに勤続5年くらいで、仕事がおもしろくなってきたところでした。
だから、まだ新入社員の彼が、入社早々「仕事に興味ややりがいを感じられない」と嘆いているのを聞いても、
「3日、3カ月、3年っていうけれど、続けていくことで見えてくることあるよ。とにかく、目の前の仕事を一生懸命やっていれば、先が見えてくるよ」と、ちょっと先輩風吹かせながら言っていたものです。


しかし彼は、ある劇団の研修生になるオーディションを受けて合格し、1年ちょっと勤めた会社を辞めて俳優への道を進み出したのです。


〜続きは、明日!〜