働く女性の本音に迫る(4)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


さて、働く女性の本音に迫ると題して、女性医師のYさんとのエピソードを中心に紹介してきましたが、
最後に紹介したいのが、広告代理店・制作会社で働くOさんです。
私と同い年(30代です)でもあり、名前も同じく「ユウコさん」というので、とても親しくさせてもらっています。


Oさんは、専門学校卒業後に、今の会社に就職。
最初に手がけた広告が、「ハンズフリーの電話機(注:子機を持たなくても、「は〜い」と返事するだけで、通話ができる電話機)」ということで、携帯電話が当たり前になっている今、
「なんだか、すごい時代から仕事してきたんだなあって感じる!!」と、2人して苦笑いしたものです。


主に広告のデザインを中心に手がけ、デザイナーとして活躍していましたが、20代の半ばに、いろいろ思うところがあって渡米。
留学先では、ホテルでの接客業なども体験したと言います。
「なんか、まったく新しいことがしたかったんだよね」とOさん。
数年、アメリカで過ごした後帰国しますが、帰国後、元の会社に戻るつもりはまったくなかったそうです。


「それが、社長(注:女社長です、ちなみに)に、『今何もしてないなら、手伝ってほしい』と言われてまた戻ったの。
それからず〜っと、この会社にいるよ!(笑)」とOさん。


最初はデザイナーでしたが、今では広告のコピーライティングも行うし、クライアントや広告営業との打ち合わせも頻繁にこなし、外注のデザイナーやカメラマン、ライターの手配にと奮闘しております。


私も何度か、彼女の会社とおシゴトさせていただきましたが、
「この会社は、彼女がいないと回らないんじゃないか?」と思うくらい、あらゆる仕事に精通しているのです。


普段はマックの前で、クリエイターよろしくデザイン・企画を考えていますが、時にばっちりスーツを着こなし、クライアントとの打ち合わせに出かけていきます。
夜10時近くに、事務所に電話すると、彼女が一人のこって仕事をしている、ということも多いのです。


そんなOさんが昨年、結婚しました! (同い年だから、めっちゃうれしかったです♪)
お相手は3歳年下のエンジニア。二人ともかなり忙しい職種ですが、とてもうまくやっているようです。


ある日、彼女から「もしかして、旦那が転勤になるかもしれないんだよね」という話を聞きました。
パートナーが勤める会社の工場が地方にあり、もともとその地方出身ということもあり、旦那様はいつか帰ることを希望しているとのこと。


「え、それでOさんはどうするの? その地方で今の事務所の支店を作っちゃうとか?」と私が聞くと、
「いやいや〜、それは絶対にないよ!」と笑います。


「私、今までず〜っと働いて来て、この仕事いつ辞めてもいいって思っているんだ。スーパーでレジ打ちの仕事だって、接客だってなんだってできるって思っているから。
今の仕事ができなくなったらどうしようっていう不安、まったくないんだよね」

私はこの話を聞いたとき、
「あ、これもキャリアを重ねた女性の、一つの自信の形だな」と感じました。


一つの仕事をずっと続けて、そこでやり尽くしている!という思いは、場を変えても、仕事を変えても、活きてくるのだろうと。


仕事という面で、女性が自立するというのも、いろいろな形があります。
女性医師のY先生のように、仕事を続ける自信と資格を持つことも、
デザイナーのOさんのように、仕事を辞める不安を払拭することも、仕事を変える勇気や度胸をつけることも、その条件だなあと、私は感じました。


今の社会には、そんなタフでしなやかな考えで働いている女性が大勢います。
このブログを読んでいる中学生・高校生にも、社会に出て、自分なりの自立したスタイルを見つけることに、
大きな希望と夢を抱いてほしいと願っています。