あなたはあなただけの山を登っている


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


最近は、「競争はよくないこと」と考える人たちがいますよね。
差別やいじめにつながるということなんでしょうか。


確かに、将棋や囲碁、野球やサッカーなどのスポーツなどでは競争すると、勝者と敗者がでます。しかし、本来、勝ち負けと、差別やいじめは別の次元の話ですよね。


相手が誰であれ、また、どんな状況に置かれていようが、差別やいじめは良くないこと。それは、人間としての振る舞い方の問題です。勝負とは関係ありません。




さて、敗者になれば、誰だって口惜しい。
でも、「このままじゃいやだ」という気持ちが自分を成長させてくれます。


逆に勝者になってしまうと、ついつい慢心してしまいがち。
成長が止まってしまいます。


アテネ五輪の水泳で金メダルを獲得し、世界の頂点に立った北島康介さんも、その後2年ほど不振にあえぎましたが、やはり勝者になって気が緩んだことが原因だったようですね。


誰かに勝ちたい、負けたくないという気持ちは、キャリアアップのための大きな原動力になります。ですから、競争心を燃やすのは大いに結構。どんどん競争しましょう。


ただし、競争自体を目的にしてしまわないこと。


競争は、やる気を出すための単なる手段です。私たちは、競争を通じてそれぞれ自分自身を成長させているのです。


競争は人生を面白くしてくれるゲーム。勝ったり負けたり、波乱万丈だから人生は楽しい。起伏がある人生だから、自分らしさが磨かれるのです。




私は、キャリアデザインの講義で学生や社会人の方に、次のようなたとえ話します。


私たちは、別の自分だけの山に登っている。
一見、同じ山の頂を目指して、誰が一番になるか競争しているように感じるかもしれないけれど、実はそうじゃない。


それぞれ自分の山の頂を目指して競争している。
競争相手を見ると、彼・彼女は、自分の山じゃなくて、向こうにある彼・彼女の山を登っているのです。


そして、時々立ち止まり、「がんばってるかー」と手を振り合い、また自分の山を登りはじめる。


つまり、私たちはお互いに切磋琢磨し、時に励ましあいながら、それぞれ自分だけしか到達できない山頂に向けて登っているのです。


山頂についたら、自分の通ってきたルートを振り返ってみる。
そのルートこそ、あなただけのキャリア、人生です。


競争しながらたどり着いた先には、実は勝者も敗者もないのです。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)