国・文化が変わればじゃんけんもさまざま


突然ですが、小さい頃からよく日常的に行ってきた「じゃんけん」、
他の国ではどんなものなのでしょうか。
いや、そもそも「じゃんけん」自体は存在するのか。
そんなことをふと疑問に思ったことはありませんか?


私の友人に、ミャンマー(旧ビルマ)の研究をしている人がいるのですが、
その方に先日会い、ミャンマーのじゃんけんについて面白い話を聞いてきました。


ミャンマーでも、じゃんけんはあるそうです。
ですが、日本の「グー」「チョキ」「パー」にあたるものは、
すべて異なります。


ミャンマーでは、「グー」は「将軍」、「チョキ」は「拳銃」、「パー」は「トラ」、
なんだそうです。
日本では、「グー」は「石」、「チョキ」は「はさみ」、「パー」は「紙」、
ですから、ずいぶん違いますよね。
(ちなみに、「将軍」は両手を腰にあて、「拳銃」は両手で拳銃の形を作り、
「トラ」は両手を上にあげる、というジェスチャーをします。)


つまり、

  • 「グー」である「将軍」は、「拳銃」には勝てるが「トラ」には負ける。
  • 「チョキ」である「拳銃」は、「トラ」には勝てるが、「将軍」には負ける。
  • 「パー」であるトラは、「将軍」には勝てるが、「拳銃」には負ける。


という関係になっているんです。


ミャンマーにはトラが生息していますし、「将軍」や「拳銃」からは、
1948年にビルマ連邦としてイギリスから独立して以降、
内乱やクーデター、デモや暴動の末、
1988年に国軍が武力で制圧して軍事政権を樹立したという、
ミャンマーの歴史が感じられます。


じゃんけんというごくごく日常的な習慣の中にさえ
(いや、日常的な習慣だからこそ、でしょうか)、
その国の歴史や文化が確かに根付いている。


自分と異なる習慣や考え方を単に「へー、違うんだ」ととらえるだけではなくて、
そこからもう一歩進み、「どうして違うんだろう?」という好奇心をもつと、
その先にはきっと、更に奥が深く、わくわくするほど面白い世界が待っていますよ。


(すぎもと)