揺れた振り子は戻るもの


 台風に地震と、今年も大きな自然災害が続いています。
 被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。


 私は以前から「自然保護」という言葉に違和感を覚えてきました。
 「自然保護」という考え方には、「自然は弱いものである」という前提があります。
 しかし、私にとって自然は畏怖する対象であっても、保護する対象ではありません。
 海や山や空を汚してはいけないのは、それが弱いからではなく、そんなことをすると後のしっぺ返しが怖いからだと認識しています。


 しかしながら、私もいまさら原始人のような生活ができるわけもありませんので、できる範囲でエントロピーを増大させないように生きるしかない、と割り切ってはいます。
 地方生活者にとって、クルマのない生活は不便で彩りのないものになってしまいますので、今すぐには捨てられませんが、16km/l走る小型車に14年間乗り続けています。一人で移動する際には、30km/l近く走るバイクをなるべく選択します。
 エコバッグは、衛生上の問題が気になってまだ使うに至りませんが、ポリ袋の枚数は減らす配慮をしています。
 また、できるだけエアコンより扇風機を使うようにしています。
 ……など、個人でできることなどたかが知れていますが、それでも多少意識するのは、まったく意識しないよりはマシだと、自分に弁解しています。


 最近、伊豆や富士山麓などを山行しますと、人間以外の動物の復権を感じます。というと大げさですが、サル、シカ、イノシシ、クマ、ハクビシン、といった野生動物や、カブトムシ、クワガタムシ、カナブンなどの大型昆虫に出くわすことが、ここ数年増えているように感じるのです。
 これは、自然が回復しつつあるというよりも、人間という単一種の圧迫に対する反動が起きているのではないか、という気がします。
 人類の存在を、地球ができるだけ長い期間許してくれることを祈るばかりです。


(クロダ)