プロ意識を持て、示せ!


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


9月2日(日)夜、私が1年ほど前から参加しているゴスペルグループのコンサートが行われました。場所は渋谷のC.C.Leomonホール(旧渋谷公会堂)、定員2,084人の大会場です。当日は、ほぼ満席となった来場者の前で、総勢数百人のメンバーによる歌、そしてプロのダンサーを招いてのダンスパフォーマンスなどが繰り広げられました。


私も含めゴスペルのメンバーは、主婦だったり、会社員だったり、学生だったりと、要するに皆アマチュアです。それぞれ様々な用事で忙しい中、猛暑の続くコンサート直前の8月はほぼ毎週末集まり、練習に精を出しました。おかげさまでコンサートは無事終了し、お客さまにも楽しんでいただけたようでほっとしています。


さて、コンサートの前、友人の一人にゴスペルの話をしたところ、「ゴスペルって、自分たちだけが楽しんでるイメージがあるよね」と辛らつなコメントを返されました。確かに、教会で歌われる黒人霊歌が発祥のゴスペルは、自分自身の歌声に酔っているかのような、歌い手の恍惚とした表情がイメージとして思い浮かびます。実際、数百人の仲間たちとともに、魂を絞り出すように歌うゴスペルは実に楽しい。私は、ゴスペルを歌っている時、「まつおっち(私のニックネームです)は、笑顔いっぱいで歌っているね」と人から言われますが、心から楽しんでいるので自然と笑みがこぼれてしまうんですよね。


ただ、今回、おそらく数年に1度の大規模な単独コンサートを目前にして、ゴスペルグループのマネージャーから厳しく叱責されたことが今でも忘れられません。


マネージャーの言葉は、次のようなものでした。

“普段の練習では、自分が楽しんでくれればいい。あまりうるさいことは言いません。しかし、今回のコンサートのように、お金をいただいて聴いてもらう場合はそうはいかない。お客さまに喜んでいただける、納得していただけるパフォーマンスができなければなりません。甘えは許されないよ・・・”

すなわち、「自己満足で歌うな、プロ意識を持て」ということをメンバーに伝えたかったのです。


今回のコンサートでは、演出家、舞台監督、生演奏をしてくれるバンド、ダンサーチームの皆さんは、全員プロ中のプロです。つまり、超一流の方が私たちメンバーをサポートしてくれていました。そして、来場者の方には、安くはないチケット代をきちんといただいています。もし、「私はしょせんアマチュアだから」という甘えがあり、それが表に現れたとしたら、周囲を失望させることになります。聴衆にすれば、「金返せ!」ということになるでしょう。


たとえそれほど自信がなくても、相応の対価をいただいている以上は、「プロ意識」を持ち、自分のベストのパフォーマンスが出せるように最大限の練習を積み、本番では、堂々とプロとして振舞うことが求められるんじゃないでしょうか。



このことはもちろん、仕事においても同じです。


以前、ある有料セミナーに参加した時のことを思い出します。セミナー講師は、その専門分野では第一人者です。ブログやメルマガにも精力的に取り組まれていたので、大きな期待を持ってセミナーに臨みました。ところが、丸1日のセミナーのうち、私は午前中だけで受講を中断し、会場を後にしました。内容は良かったのですが、講師の言葉が気になったからです。彼は話の中で頻繁に次のように話していました。

  • 「たぶん、XXXなんだと思います。」
  • 「たぶん、XXXです。」


つまり、頭に「たぶん・・・」をつけて話すのです。「なにかについての推測」ならいいのですが、専門分野についての説明をしている時も、「たぶん・・・です。」と言う。この言葉使いは、たぶん(笑)、彼の口グセなんでしょうね。思わず出てしまう感じでした。


しかし、普通に、「これは・・・です」と断言できる話にも「たぶん」をつけてしまうと、内容に自信がないように聴こえてしまい、説得力がありません。こちらはお金を払って講師の専門分野を学びに来ているのに、「たぶん」の話ばかりじゃ聴いてられない。ばかばかしい。そう思って途中で逃げ出したのでした。


私はちょっと厳しすぎますか?


しかし、お金をもらう以上は、プロとしての誇りや自信を、態度や言葉でも示すべきではないでしょうか。彼の場合は、たぶん、プロ意識はあったと思います。ただ、それを受講者に示すことがうまくできなかったのが残念な点でした。


社会人の皆さんも、新人であれ中堅であれベテランであれ、給料をもらっている以上は、全員プロです。「謙虚さ」は失うべきではありませんが、必要以上の謙遜はダメです。プロとしての矜持を持ち、お客様の前ではプロらしく振舞いましょう。中味はまだ十分でなくても、そのギャップを埋めようと精進を怠らなければ、少しずつ「一流のプロ」としての「中味」も「振る舞い」も身についていきますよ。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)