平成19年から高1向け教科書はどんな感じになるかな?


つい先ほどまで、カンブリア宮殿(TV東京系)を見ていました(^^
はてなid:jkondoさん、イケてましたね。
少しでも見習って、自分も若い人たちにいろいろなことを提供していければ…と思います。


さて、本日、ブログ担当の私:寺西は、江東区の「教科書研究センター」というところに出張で出ております。
目的は、平成18年度の教科書検定結果を閲覧するためです。
詳しくは文部科学省のページに書かれています。


Z会高校コースの最終目標はZ会員に大学に合格してもらうこと」(←あたりまえっ!)。
なので、教科スタッフは、大学の出題分析に余念がありませんし、「うん、きっとZ会ならそれくらいは当然してるでしょ」と、皆さんも思っているかと思います。


このように、「入試問題から見下ろして」適切な教材サービスを考えることも大切なのですが、一方で「現状から見上げて」サービスを考えていくことも大切なことですよね。
そのベースになるのが、やはり教科書と言えます。
皆さんがどんな教科書を用いて、どんなところまで「学校」でやっているか…という現状把握をした上で、実際の入試問題との格差を測り、足りていないことを補いながら入試のステージまで導くことが、高1・2年生の間では大切になりますから。


もちろん、教科書を見ればある程度のことはわかります。
しかし、スタッフは“検定の際にどのような意見(つまり、「これは扱っちゃいけない」とかいうコメント)がついたか”にも注目しなければいけません。
そこが教科書会社と文部科学省の見解のずれであり、そのずれの部分を認識した上で教材を作っていかないと、Z会の教材もずれてしまいますからね。
※あ、「教科書では避けるように」という意見がついたものをZ会の教材で扱わない、という意味じゃないですよ。
扱うときに注意したり断りを入れたり…といったより細かな配慮をしてサービスを提供する、ということです。


明日はたまたま私が単独で向かうのですが、教科スタッフからいろいろ「この項目についてどんな意見がついているか見てきてほしい」という要望が届いています。
私は今回、このダイアリーの読者の皆さんに少しでも今回の検定意見を伝えたい、と思い出向くのですが、教科スタッフはとりあえず先発隊の私の感想をちょっと受けて、その上でまた後日出向く…なんてこともやるかもしれません。
この辺、教科スタッフと私のような広報的な担当!?とはチームワークバッチリでして♪


またこの日の日記として、検定意見として気になったことをちょこっと追伸で報告できれば、と思っています。
後日、このページをまた見に来てくださいね。


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追伸が遅くなってしまいました。id:Cweed:20060509さんを始め、申し訳ありません。


さて、id:Cweedさんが「日本史や世界史が中心?」と書かれていましたが、実は日本史や世界史に関しては、文部科学省のHPで次のように書かれています。
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文部科学省ホームページに高等学校世界史、日本史の検定意見書及び修正表を掲載し、他の教科書関係の情報に加えて閲覧できるようにする。(実施時期平成18年6月上旬から)
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したがって、今回は理系教科を中心に閲覧してきました。
私自身が元々数学の教材編集担当でしたので、数学I、数学Aについて検定意見や新しい教科書についてのものを簡単に記すと、下記のような感じでした。

  • 学習指導要領に明記されていないことを「研究」という枠組みで紹介するのはダメで、すべて「発展」という枠組みに統一するよう意見がつく傾向あり(つまり、「発展」という言葉を使うことに拘っているわけですね)。一例として、「重複組合せ」を「研究」で扱っていた教科書が「発展」に移行するよう指示がついていました。
  • 「ピックの公式」を「発展」で取り上げていた教科書に意見→削除。「発展」といえども、内容が「高校生にとってかけ離れたもの」「技巧的で余り意味のないもの」は削除している傾向があります。
  • 放物線と直線の共有点を求める考え方はすべて発展事項に。一方で、ほとんどの教科書はこの事項を取り上げています。
  • 三角形の内接円の半径を求める事項に意見がつき削除した教科書がありました。
  • ヘロンの公式を「発展」として取り上げた教科書がありました。また、「研究」で取り上げていたところ検定意見がつき、「発展」に移行したものもありました。
  • 判別式の記号Dについて、例題の答案中にいきなり「D=2^2-4・1・5=-16<0なので〜」と始めたものはすべて意見。2次方程式の判別式をDとすると〜と書いてあれば(もちろん)OKである一方で、D=b^2-4ac=2^2-4・1・5=-16<0なので〜」と、例題の問題文では全く現れていないa,b,cというアルファベットを付け足して修正OKとしている姿勢には戸惑いました。
  • 整数部分・小数部分に関する問題はほぼすべての教科書で取り上げられていました。
  • 2重根号についても発展で取り上げられていました。
  • 根号の開平法を掲載した出版社もありました。
  • 絶対値方程式、不等式は「発展」ではなく「研究」扱いでした。
  • 複二次式の因数分解には意見がつき、「発展にまわす」のではなく削除している場合が多かったです。


以上、簡単ですが、数学のご報告まで…。