3人の編集者との仕事を通じて(4)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


このブログを読んでくださっている中で、雑誌や書籍あるいはwebの編集者になりたいと思っている方は、どのくらいいるのでしょうか?

  • 「編集者になるために必要な資格は?」
  • 「どんな学部が有利なの?」
  • 「今勉強しておくべきことは何?」

と思っている方も多いかもしれませんが、編集者になるために絶対的に必要な資格や知識はこれといってありません。


エディタースクールなど、編集者のための学校もありますし、そこで編集のいろはを学ぶこともありますが、現場で覚えていくことが圧倒的です。
雑誌や出版社、編集者によって仕事の進め方は違いますし、どれが正解というのもありません。
一度、どこかの編集部や編集プロダクションで編集のノウハウを覚えてしまえば、媒体の中身が変わっても応用できるものです。
ですから、将来編集の仕事をしてみたいな〜っと思っている方は、学生時代に編集部にアルバイトしてみるものいいでしょう。


転職する編集者も多く、編集者の募集というのはいろいろなところで行われています。
そのほとんどは、「経験者歓迎」というものですが、今回紹介したKさんやTさんのように、別分野からの転職者も大勢います。
Tさんは、「書籍を発行している編集部なら、どこでもよかった」と話していました。面接では文芸志望ということを伝えましたが、「まずは雑誌部門に所属し、編集の仕事を勉強するように」と言われたといいます。
彼の希望とはぜんぜん別の内容の企画を形にする仕事を今、しているのですが、「だんだん楽しくなってきました」と話しています。
この雑誌は読者からの反響もダイレクトにくるということですし、「おもしろかった記事ランキング」などもでるそうです。
やる気のでる材料は、いっぱいあるといいます。


編集者は、基本的には「黒子の存在」です。
雑誌などでデザイナーやカメラマン、モデル、ライターのクレジット(名前)が紙面にのることはあっても、編集者の名前は(基本的には)のりません。
書籍の編集であっても、表にでるのは作家や筆者の名前であって、編集者は彼らを支える存在です。
しかし、編集者自身が「こういう内容のものを世に出したい!」という情熱を持って、いろんな人を巻き込んでいくことはできます。
自分自身が前面にでるよりも、自分の想いを誰かを通じて形にしていく、しかもそれを自分一人のときよりもいい形にして世に送り出していくことが、編集者の醍醐味なのかもしれません。


私も、じつは名刺では「editor&writer」と名乗っています。
自分自身、編集者でもありたいという思いもあるからなのですが、今回、3人の若き編集者と仕事をしてみて、
彼らの仕事に一ライターとして貢献できればいいなあと感じました。


私の編集者魂が、ちょっぴり刺激されたとでもいいましょうか。
自分の仕事が、誰かの仕事の実績になるということを、改めて意識しました。
これからも、このブログをはじめ、いろいろなところでお世話になっている編集者、そして読者のためにいい記事を書いていきたいと思っています。