仕事の幅も広がる、私的流理系のすすめ(1)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


みなさん、こんにちは。
日本列島はほとんど梅雨明けしたようですね。
連日の大雨で、九州各地や長野県などでは、大変な被害が出ました。本当にいたわしいことです。
みなさまの心身の健康と、一日も早い復旧を心より祈っております。


さて、夏休み!  みなさん、どんな日々を過ごしていますか?
高校3年生にとっては「高校最後の夏休み」。勉強も大切ですが、いろいろと楽しい思い出もぜひ作ってくださいね。


そして、高校生となって初めての夏休みを迎えている高校1年生のみなさん!
高校に入ってからの理数系科目はどうですか?
私事で恐縮ですが、私は高校になって理数系がさっぱりわからなくなりました。
特に数学が、「何を、何のために、何を使って」やっているのかさっぱり分からず、いわゆる「何がわからないのか、わからない」状態に陥りました。
中学生のときは、計算も速かったし公式を暗記するのも得意だったのに。。。こんな人は、きっと多いはず。
もし、今、私と同じような思いで苦しんでいる人がいるならと思って、今回の連
載はこのテーマにしました。


でも私は、今となってはなんとなく理由がわかるのです。
それは、公式を覚えることが、うまくできなくなっていたこと。
公式が複雑になってきて難しくなってきたというのもあるのですが、「その公式が現す世界」が、うまくイメージできていなかった、ような気がします。
ですから、例題を丸暗記することはできても、問題になるとできない。公式も応
用できない。
結局、私はその後数学を克服することなく、物理はもっとチンプンカンプン。38点という、見事な赤点をとり、今でも理系コンプレックスを抱えています。


しかし、Z会基礎科情報誌『Azest』のおシゴトBOXインタビューでさまざまな人と接しているうちに、「ああ、あの公式ってこういうことにつながっていたのね」と思うことがたくさん。


ロケット開発に取り組むFさん。
「宇宙開発では高校生が勉強している数学や物理が素直に適応できる分野。モデル化して計算すれば、シミュレーションの中で付きや金星へ行くことができます」
そっか! あの公式は、宇宙へ行くための公式だったのか〜!!


薬剤師のSさん。
「患者さんにとって一番適切な薬の投与方法や量を決めるTDMは、高校で習う微分積分と指数関数が理解できていれば基本的な計算はできます」
へぇ〜、あの複雑な計算やグラフが、私たちの体を助けているんだ〜!!


数学や物理の公式は、宇宙を含めた空間で起こっている物質の運動を読み解くために必要なものだったのだということ。それは外国に行ったとき、英語を解して異文化の人とコミュニケーションとるようなものかもしれないと、今更ながらに気づいたのです。
もし、このことを高校時代に知っていたら、数学や物理に向かい合う姿勢が違っていたかも。。。
彼らのインタビューを通して、私はそんなことを日々思うのです。「ああ、高校生のころに気づいていれば!!」と。


今、数学や物理にうんざりしかかっている高校生のみなさん!!
テストに追われることのない夏休みがチャンス!  数学や物理の公式が現す世界が、どんなところにつながっているのか考えてみるのはどうでしょうか?
例えば海に遊びにいったとき。寄せては返す波と戯れながら、波長と周期のことにふと思いを寄せる、知的な自分がいたっていい。波を上手に計算すれば、サーフィンがうまくなるかも?(笑)


こうした遊びを含めて、理数系へのモチベーションが高まる出来事を、ぜひ意識的にいっぱい見つけてみてください! そうすれば、私のような無用な理系コンプレックスはなくなるはず。期待しています♪