仕事の幅も広がる、私的流理系のすすめ(4)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


ここまで、文系(=超理系コンプレックス)の私が、「理系がオススメ!」というのを書き連ねてきましたが、読んでくださったみなさん、どんな感想をお持ちですか?


「所詮、文系の人がいうことでしょ? 信用できないな〜」
「理系が幅広い? 私にはそう思えないな〜」
「そんな短絡的な方法で、理系が好きになれるわけないぢゃん!」


いろいろと、疑いをお持ちのアナタ!
そんなあなたには、きわめつけ。Z会基礎科情報誌『Azest』の理系編集者、Kさんの言葉を贈ります。


「文系の人って、そんなになんでも信じてしまうんですか? 理系って、『それって本当?』って、まず、疑うことから始まるんですよ」


とのこと。
ある現象(考え方も含む)を客観的に『正しい』と証明するために、仮説を立て、実験を行い、データを集め、実証する。これが、『理系の基本』だというのです。


だ・か・ら!
「本当〜?」って、疑心暗鬼で、数学や理科が苦手な方にこそ、この連載でのエピソードを夏休み中に試してほしいのです。


・数学の授業で出てくる数式は、どんな時に必要になるのか?
・私たちの日常を、物理の法則で考えてみると、どんなことが思い浮かぶか?
・化学の実験でやってみたいことは?
・地球の環境問題で、自分は何が一番気になるか? そこに理系の技術がどうかかわっているか?


などなど。


専門的なことがわからなかったり、証明が今すぐできなくても、かまいません。
まずは「これって、どうなの?」と、疑ったり、わからないことをピックアップしながら、私たちの日常に、理数系科目がどうかかわっているかを考えることが、大切なのです。
この際、テストができる、できないは二の次と考えてもいいと、私は思います。


将来的には文系に進みたいと思っている方にも、高校時代の理数系は基礎、一般常識としてぜひ知っておいてほしいと思います。
これからの大卒者(文系)こそ、理系の基礎を身につけているべきだと、私は思うのです。
もっというなら、大卒者とは、高校時代の理系の基礎知識を一般常識として知っている人であるべきだと思うのです(自戒の意もこめて、強く思っています)。


例えばマンンションの耐震偽装問題。
もし、マンションの販売会社や不動産会社の社員が、建物の耐震性や木材や鉄筋という物質について、もう少し知識があったら? 
「あれ? これで大丈夫なの?」って、もっと多くの現場で声があがれば、偽装などカンタンにできないはずです。購入者も、価格の安さがどこから来ているのか、もっと気を配ることができたかもしれません。


例えば車やガス器具メーカーのリコール問題。
メーカー側はもちろんですが、使用者、購入者も「安全」に対する危機感を、もっと持つことができるでしょうし、ましてや「不正改造」などということは、できないはずです。責任の、本当の取り方がわかってくることでしょう。


将来、自分の身をトータルに守る意味でも、そして、社会に幅広く貢献するためにも、高校時代の理数系は、とっても重要です!
私もいまさらながら、いろんな方の声を聴きながら、「理系っておもしろい!!」と思っているところです。
頭のやらわかい高校生のみなさんなら今からでも決して遅くはありません。
理数系のコンプレックスを、ぜひ夏休みを利用してふきとばしてください!! 
応援しています。