仕事の価値観はいろいろ(4)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


さて、今回は私が出会った、夏休みらしい仕事をしている人にスポットを当てて取り上げてみましたが、いかがでしたか?


取り上げながら、ある共通点に気がつきました!それは、
「二足のわらじ」!


ライフセービングの仕事は、それだけで生計を立てている人と言うのはほとんどいないでしょう。ある人はスポーツクラブのインストラクターかもしれないし、もしかしてふつうのサラリーマンかもしれない。
ライフセービングの技術を競う大会などもありますから、もしかしてアスリートかもしれません(プロのサーファーとか、ダイバーとか)。
それでも、「水での事故を防ぎたい、救いたい」という思いからライルセーバーという仕事を選んだ人たちが、海で私たちを守ってくれています。


漁師の仕事も、私が出会った定置網漁の船に乗った方は、みな民宿や食堂、農業を兼業している人たちでした。漁は出る時期も限られますから、生計を立てるすべは他に持つ必要があります(少なくとも、家族の他の誰かでも)。
収入が不安定という人も多いでしょう。それでも年間1000人以上の人が「漁師になりたい」と、新たに漁に出ているそうです。
それは、自然相手にする仕事のおもしろさ、その価値観を大切にしているからにほかなりません。


純和風の旅館での仕事から、インターナショナルな仕事が見えてくることもあります。先に紹介した旅館で英語の翻訳をしているうちに、フリー翻訳者になった彼女も、一時期、翻訳と旅館の仕事の、2足のわらじ状態だったといいます。
しばらく両方平行してみて、どっちが自分に向いているのか、試してもいいのかもしれません。
もし両方好きで選べなかったら、ずっとはき続けることもできるのかもしれないのです。




最後に、この「職業を考える」を通して、私がいつも意識していること。
それは、仕事における成功とは一つの価値観でははかれないということ。
ライフセーバーも、漁師も、旅館の仲居さんも、Z会会員のみなさんは将来誰もならない仕事かもしれません。
それでも、私たちがある生活スタイルを維持できる、あるいは目指すことができるのは、
自分以外の誰かが、必要な役割を担ってくれているからです。


将来、自分がどんな職業につこうとも、自分以外の誰かが担っている社会の役割について考えられる、そんな人にこのブログを読んでいる人にはなってほしいと思い、このような連載とさせていただきました。


また、私のであったすてきな仕事人を取り上げさえてもらいます。
みなさんの知りたい、職業についてのリクエストも、どんどんお待ちしています。