競争率の高い仕事を目指すとき(3)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


前回、動物園の飼育係の採用条件として、知識や技術があれば農業高校、動物専門学校、大学いずれでも可能という風に伝えましたが、
最近では、動物園でも大卒者を採用する傾向になっているということです。
それは、動物園の役割や存在意義について考えると納得もできます。
動物園の役割には「娯楽」「社会教育」「自然保護」「動物研究」という4つがあります。


「娯楽」は文字通り、動物園を訪れた人を楽しませること。さまざまなレジャー産業が生まれ、動物園が絶対的な娯楽施設ではなくなっても、やっぱり楽しみに出かけたいところです。
「社会教育」というのは、来場者に動物の生態を見せて学ばせること。現在、子どもたちのみならず大人も対象として、動物園ではこうした取組みはさかんに行われています。


「自然保護」という側面が注目されてきたのは、最近のことでしょう。
都市化が年々進み、身近なところでペット以外の動物を見かけることは少なくなりました。自然が減ったことで生存が危うくなった動物たちを、動物園で保護しようというものです。
希少動物であれば、その繁殖という重要な役割も担っているのです。
「動物研究」も文字通りの役割。野鳥を飼ってその研究をしたり、牛や豚、鶏など畜産農家が飼う家畜の世話を通して酪農を考えるなどといった役割も動物園にはあります。


日本では長年、「娯楽」という側面が強かったのですが、欧米の動物園では学芸員や教員の資格を持った人材も多く、調査研究のための組織も充実しているといいます。
日本にはまだ、学芸員の資格ももった飼育係というのはほとんどいませんが、動物園という施設のもつ役割を考えると、今後、高い知識や技術を持った人材が、動物園では求められて行くと思われます。


先日、お話をうかがったNさんも
「海外を含めて、動物園同士のネットワークは広がりつつあります」
とおっしゃってました。
「英語もできて海外の文献も読める」「調査を統計学的に分析できる」という人材を、動物園が求めるようになるのは、時間の問題でしょう。
ですから、動物園で働きたい!というのであれば、ぜひ大学進学を視野にいれて、夢を追いかけてほしいと思っています。


〜続きは、明日!〜