競争率の高い仕事を目指すとき(4)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


さて、動物園で働くのは動物の世話をしている飼育係の方だけではありません。
動物が病気になってしまったとき、その治療にあたるのは獣医師です。
また、動物園内での各種イベント(子どもたちの動物観察教室やショーなど)を企画する人もいます。
これは飼育係の方が企画する場合もあれば、そうした企画を専門に扱う部門を設けているところもあるでしょう。
司会や説明は、飼育係が担当する場合もあれば、それを中心に行うスタッフがいる場合もあります。


また、ひとくちに動物園といっても、その施設のありかたはさまざまです。
特定の動物だけを集めた動物園や、放し飼いにするサファリパーク、人と触れ合うことを中心にした施設やショーを見せることに重点をおいた動物園など、さまざまです。
特に、ショーを見せるところではそうした技術を持った人材が求められます。


また動物園を離れても、動物を飼う・育てるという点では、まず「畜産」が考えられますし、競走馬を育てる「競馬」、犬や猫などのペットを繁殖させて飼育する「ブリーダー」もあります。
医学実験動物を飼って育てる施設だってあります。


改めて考えると、動物に関する仕事は、実に幅広いことがわかります。
そして、共通するのは、「動物が好き」というよりも、「動物の行動、習性を深く理解する」という気持ちが一番大切だということです。


動物はペットだけではありません。動物園にいる動物は野生動物です。
動物園にいる動物は、娯楽の対象というだけではありません。自然破壊が進み、すみかをなくした動物たちが保護されています。
飼育係は動物をかわいがるだけではいけません。種の保存のためには、人に馴れすぎると交尾ができなく恐れもあります。
動物園の動物は見せモノというだけではありません。牛や豚、鶏など私たちがその乳や肉を食べて生活している動物も飼われているのです。


「21世紀は、動物との共生が人類のテーマ」とも言われています。
動物園の飼育係になるのは、難しいし運も必要だけれど、そのために勉強したことは、いろんな分野で活かされる可能性があります。
だからこそ、「動物園で働きたい!」と思った人には、その夢を持ち続ける努力・勉強をしてほしいと思います。
きっと、そこから自分にふさわしい道が、拓けてくるでしょう。

とりあえず、今度の休みは、地元の動物園に出かけてみてはいかがでしょうか?
飼育係の方に、いろいろ質問して(動物のことも、仕事のことも)自分の夢をふくらませてくださいね。
夢は叶えることも、持ち続けることも、大切だから! 応援しています!