社会人と大学との関係(3)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター



さて、話は変わりますが、私の弟は塾の講師をしています。
最初は教員志望だったのですが、教員採用試験に受からず、就職浪人するわけにも行かず塾でアルバイト講師を続けるうちに
、いつしかそれが本業になって…。


「ああ、よくあるパターンね」
などと、私は思っていたのです。
もっと悪く言えば、「教職をあきらめて、しかたなく塾の講師をしている」とまで考えていたのです。


でも、実際はぜんぜん違っていた、ということに、最近気づいたのです。


彼は大学受験のとき、ある予備校にいき、そこでめきめきと力をつけました。
どうやら、とてもいい講師に出会ったようです。
大学受験中は、大好きなゲームや漫画など、遊びはいっさい禁止にしていました。
大好きな阪神タイガースだけは応援していて、中継を見ることが唯一の楽しみにしていたようです。
大学受験の年、その大好きなタイガースは優勝しました。
そして彼は、見事第一志望合格という目標を達成したのです。


もっとさかのぼると、高校受験のとき。
彼は、中学時代ちょっといじめにもあっていたようです。私も母も(父は単身赴任でした)あまり、深刻に受け止めていませ
んでしたが…。
学年が上がるにつれ、いじめはだんだん薄れてきたようですが、「高校も、自分をいじめた奴と同じところに行くのは絶対いや
だ。自分のことを誰も知らないところに進学したい」という思いは根強かったようです。


そのために、受験勉強一生懸命がんばりました。
結果として、出来の悪いいじめっ子が大多数進学する地元の高校ではなく、隣の市の、自分としてはギリギリ高いレベルの高
校に見事合格しました。


彼は、高校受験、大学受験を通して、自分の成長を実感していたのです。
そんな経験があったから、今でも塾講師を誇りを持って続けられているのです。
保護者にも、受験生本人にも、
「受験勉強、がんばることは大切なんだ。合格したっていう結果だけじゃないんだ」って堂々と言えるのです。


姉の私は弟のそんな姿に、10年以上経ってようやく気づいたのです。


〜続きは、明日!〜