「職業としてのお医者さん」を考える(1)


大学受験の先にあるもの〜職業を考える〜


【執筆】小谷祐子(フリーライター


みなさん、こんにちは。


このところ、私は『お医者さん』への取材が月1ペースで続いています。


先々月は、『Azest』12月号の「おシゴトBOX」で取り上げる歯科医師の先生にお話をうかがいました。
先月末には、新病院開設のパンフレットを作るために地方に出張し、泌尿器専門の先生にインタビュー。
さらに今月中には、麻酔医(女医さんだそうです)を取材する予定となっています。


「お医者さん」取材って今までそれほど多くなかったのですが、これだけ専門医(内科とか、外科とかいうお医者さんではなくて、という意味です)が続くのも珍しい。
また、友人に医師がいるわけでもない私にとって、「医者と患者」という立場以外で、お医者さんと接するのはとても貴重な経験です。


ところで、みなさんは「職業としてのお医者さん」ってどう思いますか?

  • 患者のために、自分の知識&技能&時間を、惜しみなく使う人!
  • 「この人の言うことは、絶対!」と思わせる、頼りになる存在!
  • 世の中に、なくてはならない重要な仕事!


という、肯定的なものから

  • 頭が良くて金持ちで。自分とはまったく住む世界が違うセレブな人!
  • 医者になれるのは、親や親戚が医者の人だけ。自分はムリ!
  • 病人はいわば医者の“お客様”。病気を治せないとき、医者の“責任”ってどうなの?


という、やや偏見&コンプレックスに充ち満ちた(←ほぼ私の、です)、否定的な意見まで、幅広くあると思われます。


実際、ちょっと前には美容整形外科医の娘さんが誘拐されたという事件がありました。
この事件などはまさに、
「医者=お金持ち」⇒妬ましい
という、世間一般の医者に対する負の感情が起こしたものでしょう。


また先日、意識不明に陥った妊婦が病院をたらい回しにされたあげく死亡した、というニュースも報道されました。
これは、妊婦の病状を判断する難しさ・病院の受け入れ体制の不備など、いくつもの不幸な要因が重なって起きてしまった最悪のケースでしょうが、
私たち、世間一般の“患者”に与えたインパクトは大きいものがありました。


「医師は、私たちを、本当に最後まで責任とって診てくれるのか?」


という“患者”側の不安は、かつてなく大きくなっているように思えます。


では、“医師”側はどうなのでしょうか?
患者のこうした不安に対して、どう答えようとしているのでしょうか?
また、医師自身には、自分の職業に関する不安や疑問は、ないのでしょうか?


前置きがちょっと長くなりましたが、
今回は、患者として“先生”と呼ぶ視点とは別の角度から、「職業としてのお医者さん」を探っていきます。