ホワイトカラーエグゼンプションで幸せな会社生活
皆さん、今日は。
社会保険労務士講座を担当しているイシワタと申します。
ということで、今回は、
先ごろ話題になっていたホワイトカラーエグゼンプションに関するお話をお届けします。
昨年末頃から盛り上がっていたホワイトカラーエグゼンプションですが、この制度の導入を目的にした労働基準法改正案の提出が、今度の国会ではなくなったようです。
この制度では、
- 研究開発・企画立案・調査分析などの仕事につき、
- 自分の業務に関して裁量を持つ人を、
- 「働いた時間ではなく仕事の成果で処遇していく」
とされています。
これまで日本の労働契約では、労働の対価としての賃金は、労働時間を基準に支払われていました。
また、労働時間は、労働者が人間的な生活を営む条件(=労働条件)の大切な要素でもありました。
労働契約というのは、雇われて働く人(労働者)が使用者と結ぶ契約です。
ですから、使用者(会社の代表権をもつ社長など)は労働契約には縛られないわけで、どんなに働かされても(?)労働基準法違反ということにはなりません。
過労で倒れても自己責任ということです。
ホワイトカラーエグゼンプションの導入は人件費の抑制が目的です。
その一方で、労働者にとっては、自分の仕事を自分の裁量でこなせるため、自分のスタイルで働くことができ、オフタイムも充実した生活を過ごすことができると宣伝されていました。
ところで、今の日本の会社文化の中で生きる労働者のうち、自分の仕事を自分の裁量でこなすことができる人ってどれだけいるのでしょうか?
もし、今回の改正案が成立して、この新しい裁量労働制で働く人たちが現れてきたら、自分の仕事の内容ややり方を自分で選べる、そんな職場ができてくるのでしょうか?
法律で規定できるのは制度であって、現実の生活の場ではありません。
でも、制度が定着することで、社会・文化が変わっていくことはあるかもしれません。
いつの日か、ホワイトカラーエグゼンプションが当たり前の制度となったときには、プロ野球のシーズンオフみたいな風景が、普通の会社でも見られるのでしょうか?
それが幸せな会社生活であることを楽しみにしておきます。
(イシワタ)