学び続けること


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


先週末の3連休は、仕事の出張を兼ねて、熊本大学大学院(修士課程)の年に1度の合宿に参加してきました。

本大学院(社会文化科学研究科 教授システム学専攻)には昨年(2006年)4月に入学しました。まもなく1年が過ぎようとしています。当大学院の講義はすべてネット上で開講されています。つまり、eラーニングで学べるわけです。それでも、働きながらの勉強は大変で、ひいひい言いながら課題に取り組んでいます。


eラーニングの場合、要するに通信教育ですから、先生方や同期の学生たちと顔を合わせることはほとんどありません。でも、ネット上でグループ学習をするなど、完全な独学ではないのです。そこで、強制参加ではありませんが、年に一度だけ、熊大キャンパスの演習室に集まって、各自の研究テーマなどの発表を行う場を設けてあるのです。


普段は、メール・掲示板でやりとりしているだけの先生方や同期の人たちと直接会い、また「ナイトセッション」と称する飲み会で酒を酌み交わすのは、やはりいいですね。デジタルに変換することのできない「人肌」を感じながらの交流も、たまにはないと寂しいものだとつくづく実感しました。


ちなみに、先生方も、また同期の学生のほとんどが中年男性です・・・(笑)



さて、私が40歳過ぎで大学院に入学した詳しい理由は別の機会にお話しするとして、その根底には、社会人になっても、また何歳になっても「学び続けること」が、キャリアづくりにおいてとても重要だということを私自身自覚していることがあります。


なぜ、「学び続けること」が重要なんでしょうか?
私は次のように考えています。


そもそものお話になってしまいますが、「仕事の本質」はなんだかわかりますか。それは、「仕事を通じて社会に貢献すること」だと思います。社会に貢献というのは理想論的な言い方に聞こえるかもしれません。しかし、そうじゃないんです。


「仕事を通じた社会貢献」をもっと噛み砕いて言うと、仕事を通じて、他人が「必要としている何か」を提供してあげることです。たとえば、人は生きるために、食べ物を必要としていますよね。ですから、米や野菜などを作っている農家の人や、魚を釣っている漁師はもちろんのこと、いわゆる「加工食品」を製造している食品メーカーも、食品を提供するという仕事を通じて社会に貢献しているということになります。


こう考えると、「仕事を通じた社会貢献」というのは、理想論でも、きれいごとを言っているわけではないことがおわかりいただけると思います。ただ、若いうちは、とにかく金儲けしたい、自分の好きなことがやりたいという気持ちばかりが強く、仕事を通じて社会に貢献するという感覚は薄いものです。これはまあ仕方がないことでしょう。私も若いころはあまりピンときませんでした。でも、ある程度キャリアを積んでくると、金を稼ぐこと以上に、「社会貢献」が大切だと考えるようになってきます。


この「仕事を通じた社会貢献」ができているかどうかを、よりわかりやすい質問に言い換えると

  • 「自分の仕事は、社会にとって役に立っているのだろうか?」
  • 「自分の仕事は、社会にとって価値や意味があるのだろうか?」

となります。
そして、こうした質問にイエスと答えられるかどうかが、仕事のやりがいや生きがいにも大きく関わってくるのです。


さて社会貢献、すなわち仕事を通じて、他人が「必要としている何か」を提供することが大切だとするなら、あなたには、「必要としている何か」を提供できるだけの能力・スキルを習得し、経験を積むことが必要ですよね。


学校とはその準備段階にあたります。学校で学んださまざまな学問は、他人が「必要としている何か」を提供するための基礎作りに役立ちますが、やはり実際に社会人として働く中で、本当の意味での能力やスキルを学んでいかなければならないのです。本当の意味というのは、能力やスキルは、他人にとって「役にたつ何か」を生み出すことにつながらってこそ価値を持つということです。


しかし、忘れてはいけないことがあります。それは、他人が「必要としている何か」は、時間がたつにつれて変化していくということです。昔は必要とされていたけれど、今は必要とされなくなったモノ、いわゆる時代遅れになったモノは思い出すだけでもたくさんありますよね。


同様に、あなたが今持っている能力、スキルもいつか時代遅れになるかもしれません。能力・スキルの種類によっては、あまり古くならないで長持ちするものもありますが、多くの場合、「その能力やスキルは今は必要とされていません」と言われてしまう日がくる可能性の方が高いのです。


だからこそ、将来に通用する能力・スキルを身につけるために、常に「学び続けること」が大事になってくるのです。


キャリアデザインの実現を支えるもの、それは、「学び続けること」だと私は確信しています。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)