バーチャルな情報とリアルな情報


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


前回、「学び続けること」が、キャリアづくりにおいてとても重要だということをお伝えしました。


「学び続けること」の目的を簡単に振り返ると、それは、現在、また将来において「他の人の役に立つ能力やスキル」を提供できるためです。別の言い方をすれば、「他の人が必要とする能力やスキル」を提供できるためには、「学び続けること」が必要だということです。


自分を取り巻く環境はどんどん変化していますよね。そうすると、他の人が必要としている能力やスキルもどんどん変わっていく。そんな中で、自分も同じように変わっていくことができなければ取り残されてしまう。


厳しいようですが、これが現実です。


さて、自分が変わるためには、新しい情報を自分に入れることが必要になってきます。(学問のような「学習」は、「体系的な情報」を自分に入れることですね)外部からやってくる新たな情報を遮断し、毎日同じことを繰り返しているだけでは自らを変化させることはできません・・・


新しい情報は、いわゆる「学習」はもちろんのこと、本・雑誌を読んだり、インターネットを見たり、あるいは人の話を聞いたり、また自分で実際に体験することなど、さまざまな方法で仕入れることができますよね。


ただ、最近は、インターネットであまりに多種多様な情報が簡単に入手できるので、ネットに過剰に頼りすぎてしまっている人が増えているようです。これは問題ですよ。


なぜなら、ネットだけでなく本・雑誌も同じですが、こうした情報源は効率的に情報が収集できるものの、あくまで他人がもたらす「間接的な情報」に過ぎないからです。ですから、ネットや本・雑誌で読んだだけでわかった気になってしまうのは危険。それは、他人のフィルターで選別された情報をただ丸ごと受け入れていることになるからです。


やはり、一番貴重で価値があるのは、自分の5感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、肌感覚)を通じて仕入れた実体験です。自分自身のフィルターを通じた直接的な情報こそ最も信頼できる情報であり、自分をよりよい方向に変える大きな力になってくれます。


もちろん、ありとあらゆることを自分で体験するわけにはいきませんから、ネットや本の活用は多いにやりましょう。しかし、同時に、自ら体験する直接的な情報収集も貪欲に行うことをおすすめします。


卑近な例で言えば、ネットで料理がおいしそうなレストランを見つけたら、足を運び、自分の舌で味わってみるのです。他のことでも同じように、できるだけ実際にやってみる機会を増やす。実体験は、薄っぺらな情報に厚みを出すことを可能にします。


そういえば、むかし、寺山修司という詩人が「書を捨てよ、町へ出よう」というタイトルの本を書きました。このタイトルは有名ですので、ご存知の方も多いと思います。私はこの本を読んだわけではないのですが、どうやら、「読書をするな」いうことではなくて、「本も読め」、そして町にも出て、「自らの目でも世の中を見ろ」ということらしいです。


自分の体験することはリアルですが、それ以外はすべてバーチャルと言うことができますよね。
そう考えると、ネットも本も、他人の話も、自分にとってはバーチャルな情報。こうしたバーチャルな情報が氾濫する今こそ、リアルな情報をもっと集める必要があるんじゃないでしょうかね。


「キャリアデザイン」のヒントも、ネットだけじゃなく町の中にもゴロゴロ転がっていますよ。特に人との出会いの中に!


ちょっと自己否定するような内容になりましたが、今後とも私のブログをごひいきに。(笑)


(キャリア・アドバイザー 松尾順)