肯定的な孤独
こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。
人の三大本能は、なんだかご存知ですか?
- 食欲
- 性欲
- 集団欲
上記3つなんです。「食欲」、「性欲」は説明不要だと思います・・・
最後の「集団欲」とは何なのかを端的に言い換えると、
「人は、一人では生きていけない」
ということです。
そして、この「集団欲」が満たされないこと、つまり「孤独を感じること」が、とりわけつらいことだと思います。孤独感が強いと、食事さえのどを通らくなるほどですから。
さて、この「孤独感」ですが、単に社会から隔絶して一人きりで生活している場合にだけ感じることではありません。
確かに、たった一人だけの毎日もつらい・・・
数年前に制作された映画、トム・ハンクス主演の「キャスト・アウェイ」では、フェデックスの社員として乗り込んだ輸送機が事故で墜落、彼だけが無人島に流れ着き、その後3年ほど一人きりの生活を送る姿が描かれていました。
ご覧になった方は覚えてらっしゃるとおもうのですが、彼はあまりの人恋しさに、一緒に浜に打ち上げられていたバスケットボール(米メーカーのウィルソン製)に自分の血で顔を描き、「ウィルソン」と名づけて手元に置きいつも話しかけていました。
しかし、私たちもまた、たくさんの人に囲まれて生きているにも関わらず、しばしば孤独感を味わいますよね。
それは、自分が認められない時や、無視された時です。
愛されることの反対は、「嫌われること」ではなくて「無視されること」だと言われますが、周りの誰からも相手にされず、まるで自分が「透明人間」になったような感覚ほどつらいものはないと思います。
だから、私たちは孤独を恐れるあまり、ついつい親兄弟や友人の考えや意見をそのまま受け入れてしまうことがあります。
本当は、自分の考えは違っていたにもかかわらず・・・
こうして、自分のやりたいことを断念してしまった人がいらっしゃるんじゃないでしょうか。
他人は、それぞれ勝手なことを無責任に言うものです。
ですから、たとえ、周囲から反対され、相手にされなくなるかも知れないと感じたとしても、あなたの夢をそうそう簡単にあきらめてはいけません。
幸せなキャリア、後悔しない人生を生きたいなら「孤独」を恐れてはいけないのです。
あなたのやりたいことが、本当にあなたらしく、また意味のあることなら、最後には皆も認めてくれることでしょう。
ですから、「孤独」を肯定的に受け入れる覚悟が必要なのです。
え、それってとても難しい?
そうですよね。
では、明治大学教授、臨床心理士の諸富祥彦先生のアドバイスに耳を傾けてみますか。
諸富先生は
「肯定的な孤独」
であるために必要な条件として、次の8つを挙げてらっしゃいます。
1 「分かり合えない人とは、わかり合えないままでいい」と認める勇気を持て
2 人間関係についての「歪んだ思い込みやこだわり」に気づけ
3 自分の人生で「ほんとうに大切な何か」を見つけよ
4 「自分は間もなく死ぬ」という厳然たる事実を見つめよ
5 「たった一つの人生という作品」をどうつくるか、絶えず構想しながら生きよ
6 ソーシャルスキルを身につけよ。他人の話を聞き、他人を認めよ
7 「この人だけは私を見捨てない。どこかで見守ってくれている」そう思える人を見つけよ
8 自分だけは自分の味方であれ。「自分を見守るまなざし」を自分の中に育め
これらは、よく読み返してみるとキャリアについてのアドバイスと言ってもいいくらいです。
幸せなキャリアづくりは、孤独を恐れず肯定することにあるのです。
なお、諸富先生のアドバイスについて詳しく知りたい方は次の本を読んでみてください。
すばらしい本です。
『孤独であるためのレッスン』
(諸富祥彦著、日本放送出版協会)
(キャリア・アドバイザー 松尾順)