FPから見た投資のはなし4
「タンス預金」対「物価上昇率」①
(前回のつづき)
経済全体がデフレでなければ、お金はタンスに入れておくべきではありません。
なぜか?
以下の3つの理由があります。
- 利子率
- 物価上昇率
- 景気後退の要因
今回からは、「物価上昇率」についてお話します。
物価が上がれば、現金資産の価値は目減りします。
例えば、Aさんは1,000円の現金を持っていたとします。
この世の中にリンゴしかなかったと仮定し、今年のリンゴは1個100円だとすると、
Aさんの(現金)資産価値は、10リンゴということができます。
来年、リンゴが不作で1個200円になってしまったら?
Aさんの資産価値は5リンゴということになります。
価格が2倍になったら、資産価値が半分になりました。
単純な経済学のモデル(3年間)で考えてみましょう。
物価上昇率:r=0.1(10%) n年の賃金:1,000円 賃金上昇率:w
- 受け取り賃金
n年の賃金=1,000円…①
n+1年の賃金=1,000×(1+w)円…②
n+2年の賃金=1,000×(1+w)×(1+w)円…③3年間の受け取り賃金総額(①+②+③)=1,000×{1+(1+w)+(1+w)(1+w)}円…④
- 受け取り賃金を全て現金保有の場合
現金保有総額(④):1,000×{1+(1+w)+(1+w)(1+w)}円
- 受け取り賃金の3年後の価値
n年の資産合計のn年時点での価値(①)=1,000円…⑤
n+1年の資産合計のn+1年時点での価値(②+⑤×物価上昇率)
=1,000×(1+w)+1,000×(1+r)円…⑥
n+2年の資産合計のn+2年時点での価値(③+⑥×物価上昇率)
=1,000×(1+w)×(1+w)+{1,000×(1+w)+1,000×(1+r)}×(1+r)
=1,000×{(1+r)+(1+w)}^2−(1+r)(1+w)円…⑦
単純化のために、賃金上昇率は物価上昇率に等しいと仮定します(根拠は次回説明します)。
すると、w=0.1 →(1+w)=1.1
3年後の現金保有総額(④)=3,310円
また、r=0.1 →(1+r)=(1+w)=1.1
3年後の資産(受け取り賃金)の価値(⑦)=3,630円
物価上昇率がプラスであれば、現金保有は資産を目減りさせてしまいます。
モデルの条件設定などの詳しい説明はまた次回。
- 今日の株価 2007年4月11日(水)
日経平均株価 17,670.07円 (前回3月7日比+903.47)
TOPIX 1,739.01 (+48.07)
2月末の世界同時株安の下げ分を8割ほど取り戻した形になりました。
3月末の決算(権利確定・権利落ち)を乗り越え、しばらくは方向感のない相場が続きそうです。
しかしアメリカの景気動向、日本の金利政策など波乱要因があり、予断を許さない状況は
しばらく続きそうです。
Z会FP技能士講座担当
(ながの)