失敗して賢くなる


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


唐突な質問で恐縮ですが、「コンピュータ」を賢くする方法を知ってますか?


すいません、いきなり変な質問で困らせてしまって・・・
そもそも、この質問に答えようとしたら、“「賢い」というのはどういうことか?”というのが気になると思います。


「賢い」というのは、基本的には、自律的・能動的に学習し、答えを見つけ出せる能力を持っているということだと言えます。



コンピュータは、日本語で「電子計算機」と呼ばれるように、高速で計算を行うことができる機械ですよね。ただ、どんな計算を行うかは、人間が事細かに指示・命令しなければなりません。ですから、コンピュータは、本来的に「受動的な機械」です。


では、受動的な機械に過ぎない「コンピュータ」を能動的に学習し、答えを見つけ出せるような「賢いコンピュータ」に変えるためにはどんな仕組みが必要なのでしょうか。


人工知能研究の第一人者、ロジャー・シャンク教授によれば、まず「目標」を与えることが必要です。次にその「目標」を達成するための「計画」を立てさせる。そして、その「計画」を「実行」させます。


この次が大事なのですが、当初の計画通りにやったからといって、目標が達成できることは少なく、たいていの場合は「失敗」するわけです。そうしたら、計画に戻ってその計画を修正させ、また「実行」です。この繰り返しで、だんだんと目標達成に近づいていく。


すなわち、「失敗」を繰り返すことで目標に近づいていけるような仕組みを組み込むことで、「賢いコンピュータ」が作れるということなのですね。


ロジャー・シャンク教授は、近年、人を相手とする「学習理論」の研究に力を入れています。なぜなら、‘学習する’ということについては、コンピュータも人も同じ手順を踏むからです。だから、研究分野が「人工知能」から「学習理論」に移っても、実際やってる内容は同じなんだそうです。



では、もう一度「賢くなる」、言い換えると「学習する」ために必要な手順を示しましょう。

1 目標を持つ
2 目標達成のための計画を立てる
3 計画を実行する
4 失敗する
5 計画を見直し実行する
6 4に戻る

↓ (だんだんと目標に接近・・・)

7 目標に到達する

ということになります。


さて、私が今回お伝えしたかったことは、皆さんが取り組まれている資格取得や、仕事上の能力開発などの学習行為は、「失敗の繰り返し」だということです。


よく、上司や先輩などに「失敗を恐れるな、どんどん失敗しろ」と精神論的に励まされることがありますが、別に精神論でもなんでもなくて、そもそも学習の本質は「失敗」にある。「失敗すればするほど、あなたは賢くなる」ということなんです。


だから、どんどん失敗しちゃっていいんですよ。ただし、目標を持つこと、そして失敗の原因を探って計画を見直すことは忘れないでくださいね。そうしないと「同じ失敗」を繰り返すことになります。このことは、「学習能力がない」と言いますよね・・・


なお、この「失敗して賢くなる」ということについて、あるホテルマンから聞いた面白い話を知っているんですが、長くなりますので次に回します。


お楽しみに!


(キャリア・アドバイザー 松尾順)