FPから見た投資のはなし5
「タンス預金」対「物価上昇率」②
(前回のつづき)
経済全体がデフレでなければ、お金はタンスに入れておくべきではありません。
なぜか?
以下の3つの理由があります。
- 利子率
- 物価上昇率
- 景気後退の要因
今回も「物価上昇率」についてお話します。
前回は、単純なモデルにあてはめて、現金保有の貯金や投資に比べた価値低下について説明しました。
あのモデルで行ったことは、
「その年の賃金の和」<「その年の賃金×利子率(>1)の和」です。
上の式の左が現金保有、右が貯蓄ということになります。
…「利子率が1より大きいのだから、当たり前じゃないか」と言われてしまいそうですね。
でも、「賃金上昇率=利子率=物価上昇率」という仮定が正しいものならば、
このモデルはとんでもないことを証明しています。
今年、100円でお肉が買えたとします。
1年後は、同じお肉はいくらで買えるでしょうか?
物価上昇率は10%でしたので、
100円×1.1=110円になります。
すなわち、1年前と同じ生活水準を保つためには、1年前よりも10%多い賃金を受け取らなければならない
ことになります。
賃金上昇率=物価上昇率なので、3年間もらいつづける賃金の実質的な価値は同じです。
その実質的な価値をEとしましょう。
Aさんは、1年目:E/2年目:E/3年目:E
合計3Eの価値の賃金を受け取りました。
3年後の実質価値Eはいくらでしょうか?
もちろん、3年目に獲得した賃金額と同額の、
「3年後のE」:1,000×1.1×1.1=1,210円ですよね。
では、Aさんの獲得賃金の3年後の価値はいくらでしょうか?
Aさんは実質価値にして3Eの賃金を得たのですから、
「3年後のE」×3=1,210×3=3,630円となります。
Aさんが3年間で獲得した賃金の3年後の物価における価値は、3,630円になります。
あれ?現金保有の場合の3年後の保有額って、3,310円では…
つまり、実質価値にして約8.8%ほど資産価値が下落したことになります。
最初の年には100円で、10個買えたお肉。3年間貯めて3年後に30個買えるはずが、
現金で保有していたがために、27個しか買えないことになってしまいました。
現金保有は資産価値を目減りさせてしまうのです。
- 今日の株価 2007年5月2日(水)
日経平均株価 17,394.92円 (前回4月11日比−275.15)
TOPIX 1,704.22 (−34.79)
今週は2日だけの取引です。国内のプレイヤーはGWで、薄商い。今日は120円ほど上げましたが、
昨日の下落分を取り戻しただけ。この間、企業にも動きはなく、株価も方向感なく推移しているようです。
Z会FP技能士講座担当
(ながの)