心の支え


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


今週と来週は、「厳しい現実」に負けないためのヒントを書きたいと思っています。


まず今週は、「心の支え」を持つということです。

  • 仕事でミスして上司から怒られた。
  • 友人や、妻、夫、パートナーと意見が合わず、喧嘩してしまった。
  • 会社が倒産して、働き先を失ってしまった。
  • 新しい会社になじめない・・・


いきなり、不愉快な出来事ばかりを羅列してしまってすいません!


生きてるといろんなことがありますね。良いことばかりだったらありがたいんですが、上記のような様々な仕事や人間関係上のトラブルがしばしば起こってしまうのが「厳しい現実」です。


できれば、こうした「ネガティブな出来事」をありのままの「事実」として受け止め、感情にまで持ち込まないのがベターなんです。


落ち込んだり、自信を失ったり、いらいらしてしまったり、くよくよ悩んだり・・・「ネガティブな出来事」に対して、「ネガティブな感情」を抱いても何も解決しません。


ただ、


“くよくよしても何も変わらない。だから、つらくても目の前の現実を冷静に見つめ、問題はどうやったら解決するのかを考えて、行動に移そう!”


と、第三者的としてアドバイスするのは簡単ですが、人間はそうそう強くはないわけです。私自身、つらい現実に遭遇してうじうじ悩んだり、やる気をなくしたりがしょっちゅうです。


ですから、私は、一時的に落ち込んだり、悩むことを決して否定しません。そんなどん底の気分を味わうのも、大切な人生の一部なんですから。


とはいえ、いつまでもネガティブな感情を引きずっていては、幸せな人生、幸せなキャリアは実現しませんよね。いつかは涙を拭き、毅然として立ち上がり、顔を前に向けて「ようし、やるぞ」と復活の雄叫び(笑)を上げて歩き始めなければなりません。




さて、冒頭に羅列したようなネガティブな出来事のせいであなたがどん底の状態にいる時、何か「心の支え」になるものがあれば、必要以上に落ちこむことはなく、また復活までの時間を短くすることができます。


ですから、普段から「心の支え」を持つように心がけておくことが、不測の事態に備える最善の策となるといえます。では、具体的には、「心の支え」にはどんなものがあるのでしょうか。


ひとつは、「ありのままのあなたを受け入れてくれる人」。


こうした人になりえる最有力候補者は、肉親や配偶者のはずですよね。でも、現実にはたとえ血を分けた肉親でも、ありのままのあなたを受け入れてくれるとは限りませんし、あなたの妻、夫もまた、あなたに対して不平不満を持っていたりすることが多い。(あなたが相手に対してそう感じているように・・・笑)


「ありのままのあなたを受け入れてくれる人」はなかなか見つからないがやはり厳しい現実なのです。


そこで、「ペット」の登場。


犬や猫などのペットとは言葉での会話はできませんが、気持ちを通じあわせることはできる。あなたが愛情を注げば、ペットもあなたに最大限の愛情を示してくれます。


ペットはあなたのすさんだ心を癒してくれるだけでなく、心の支えにもなってくれるでしょう。


でも、ペットが飼えない部屋に住んでいたりするとだめですし、もし飼えたとしても、寿命が尽きたら死んでしまう・・・。愛したペットの死はとても悲しく、落ちこまざるを得ない出来事になってしまうのが難点です。


また、「お守り」を持つという方法もあります。


ここでの「お守り」というのは、宗教的なものでも、宗教とは関係のないものでもいい。常に持ち歩くことができて、自分の体の一部のような感覚を持てる何か。大切な人からもらったネックレスとか、観光地で買ったキーホルダーのようなものでもOK。どんな時でも、常にそこにある、変わらないである、というのが、強い「心の支え」になってくれるのです。


しかし、こうした「お守り」も、うっかりなくしてしまったらおしまいですね・・・


そこで、私が最もお勧めする「心の支え」をお教えしましょう。それは、自分の内側に持つものです。


上記にご紹介した心の支えは、すべて自分の外側にあるものでした。ですから、自分の思い通りには手に入らなかったり、なくしてしまうことがある。でも自分の内側に持っていればなくしてしまうことはありません。


さて、自分の内側に持つ「心の支え」ですが、実はとても単純なことです。


すなわち、「自分の成長が感じられることを継続する」ということです。


たとえば、朝のジョギング、あるいは語学の勉強。なんでもいいのですが、できれば毎日、短い時間でいいので、ちょっと努力が必要なことを続ける。そうすると、自分でも予想しなかった水準まで自分の能力が伸長していくことを実感できます。


そして、


「自分にだって、ここまでできるようになれるものがあるんだ」


という、実績に基づく、揺るがない自信が生まれてきます。


これこそが、逆境にあってあなたを救ってくれる「心の支え」になるのです。


精神的にタフな人は、若いころにスポーツなどで限界に近い努力を重ねてきた人が結構多いと思うのですが、それは、「あの時にあそこまでできた自分」が心の支えになっているようです。


あなたに、こうした過去の「原体験」がなくても大丈夫。たった今から自分の関心の持てる何かを始めてずっと続けていけばいい。続ける中で感じる自分自身のわずかずつの成長こそが、最大の「心の支え」になるんですよ。



ちなみに、私の場合、20歳くらいのときから続けている英語の勉強が「心の支え」になっています。


今は、NHKラジオの英語講座を1日30分ほど聞いているだけです。また、普段の仕事で英語が活用できる機会はそれほど多くありません。それでも、コツコツ続けてると、私だってそれなりに上達できるんだという自信、そしてそれ以上に、「20年以上にわたって続けていること」自体が、落ち込んだ時にも、「なんとかなるだろう」と気分を切り替えることに多いに役立っています。


えっ、飽きっぽくって、何事も続かない?


それは、まだあなたが心底のめり込めるものを見つけていないからかもしれませんね。途中で止めてしまうことがあってもいいので、いろいろなことにチャレンジしてみましょうよ。そのうちきっと、「ずっと続けたい」と思えるものに出会えます。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)