濁った英語


最近の語学書には,ほとんどと言ってよいほどCDが付いていますね。
もはや音声のない語学教材はないのでは,と思えるほどです。
それくらい,語学学習に音声は欠かせないものです。


でも,そのようなCDに収録されている英語は,ネイティブが録音スタジオに入って,雑音のない環境で「きれいに」収録された「きれいな」英語です。
また,用意された台本を1語1語しっかり読みますから,自然とスピードも遅くなります。
(「ナチュラルスピード」と表示してあるCDも,ネイティブが実際に日常で話すスピードに比べると遅いことが多いのです)


本当の意味でのナチュラルスピードの英語を聞いて練習しようと思ったとき,映画や海外TVドラマほど格好の素材はありません。
映画やドラマのセリフは感情が入りますから,英語特有の抑揚がハッキリ感じられますし,俳優の発音のクセやさまざまな周囲の雑音など,「リスニングの試験では邪魔になるような要素」があるからこそ,逆にリスニング力向上に役立つのではないか・・・とも思います。


そういう「濁った」英語を大量に浴びると,TOEICのリスニング問題が意外に易しく感じられるから不思議です。免疫がつく,とでも言いましょうか・・・。


さて,映画の話をしましたが,DVDは簡単に字幕を消すことができるので,リスニングの教材としては最高だと思います。
字幕を一瞬でも見てしまうと,内容はすぐに頭に入るものの,日本語で理解するのに脳が使うわずかな時間の分だけ,英語を聞き取る時間が削がれます。
結果,部分部分の単語・表現が聞き取れただけでリスニングの練習をした気分になってしまいます。


まずは字幕を消して,頭を完全に英語モードに切り替えて取り組むと非常に効果的です。
ソフトによっては英語の字幕が用意されているものもありますから,2回目は英語字幕を出した状態で観れば,自分の聞き取れなかった部分が簡単にわかります。
3回目はまた字幕を消して観て,最後に日本語字幕を出して(あるいは吹き替えモードで)内容の最終確認をするといいでしょう。
なるべく日本語に頼らないようにする。これが大事ですね。


ちなみに,R指定の映画などは,「濁った」というより「汚い」英語が多いです。あまり積極的にprofanity(口汚い言葉,ののしり)を覚えることは賛成できませんが,これもまた「免疫をつける」いい薬になるのかも・・・。


(アンザイ)