「情熱」と「技術」の両輪


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


日本では、これまで「精神論」がずいぶん幅を利かせてきましたよね。


心頭滅却すれば火もまた涼し」


なんて言葉を運動部の鬼コーチなどから繰り返し聞かされた人も多いでしょう。


「人間気合だ、情熱を傾けよ。つべこべいわずに努力しろ!」という精神論を私は否定するつもりはありません。というのも、この社会の中で、拙いながらも様々な経験を積めば積むほどに私が痛感するのは、キャリアを磨き、自分を成長させるために最も大切なのは、「気合」「情熱」「努力」といったクサい言葉だということです。


なぜなら、「キャリア」にも、また「人生」そのものにも近道はなく、日々の泥臭い積み重ねの結果が長い時間をかけて実を結ぶ、これが真実です。したがって、地道な行動を持続する精神的な強さが必要だからです。


たまに、幸運にも、まさに運が良かったおかげで、たいした努力もせずに短期的な成功をつかむ人もいますね。しかし、彼らは没落するのも速い!成功するまでの期間が短ければ、没落するまでの期間も短い。逆に、成功するまでの期間が長ければ、成功も長く持続する。これが、成功の基本法則です。


ただ、やはり「技術」(テクニック)も同じように重要。仕事をする技術、学習する技術、コミュニケーション技術など、せっかくの努力も気合も情熱も、こうした技術が欠けていたら空回りします。無駄が多くなります。ですから、あなたが、今目指しているキャリアに対してあふれる情熱を持っているのなら、決して「技術」を軽視せず、貪欲に、様々な技術を身につけることをお勧めします。



ここで、以前、「カリスマ体育教師」として有名な原田隆史先生セミナーで聞いた話をご紹介しましょう。


原田先生は、現在独立され、社会人や教師の指導に当たられていますが、それまでは、中学校の体育教師として、荒れる学校を建て直し「生徒指導の神様」と呼ばれ、また陸上部の生徒を鍛えて、数多くの陸上日本一選手を育て上げた人です。


さて、原田先生も若い頃は、「精神論」重視の強烈なスパルタ教育を実践していました。生徒からは、「ヒットラー」と影で呼ばれたほど。ところが、ある時、このスパルタ教育の問題点に気づきました。厳しい自分が目を光らせている時には、素直に言うことを聞く生徒も、原田先生が出張でいなかったりすると、とたんに手を抜き、さぼりまくるのです。「鬼のいぬまのなんとやら・・・」です。つまり、原田先生は、「精神論で強制的に生徒を動かすことには限界がある」ということに気づいたわけです。


そこで、原田先生は、精神論偏重を止め、生徒が立てた目標達成のために、自発的に行動を継続できるようになるための様々な「技術」を編み出していきました。その結果が、陸上日本一を生み出す成果につながったのです。


原田先生は、次のようにはっきりと言われました。


「何かを達成するためには、情熱だけではだめ、技術も必要です。」



キャリアを磨くためにも、同様に、「情熱」と「技術」の両輪を回しましょう。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)