「やらぬ後悔」より「やって反省」


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


先日、福岡の高校時代の親友が上京してきたので、久しぶりに2人で飲みました。彼は、あるサービス事業を福岡市内に展開することに成功し、現在スタッフ60人ほどを率いる立派な企業経営者になっています(ここでは、彼のことを「Yくん」と呼ぶことにします)。


実は、去年までお互いほとんど交流がありませんでした。ですから、高校卒業後にどのような人生を歩んできたのかを知らないままだったのですが、今回、ゆっくりと酒を酌み交わしながら、Yくんのこれまでの結構波乱に富んだ人生について話を聞くことができました。その彼の話の中で、ここで皆さんにもぜひ伝えたいなと感じたことがあります。Yくんの許可を得て書きます。



Yくんは、私が入学した大学に強い憧れを抱いていました。幸い、私は現役で合格しましたが、彼は残念ながら不合格で、次年度に再チャレンジするため浪人の道を選びました。結局Yくんは2浪したのですが、2年目の入学試験では、合格するだけの実力があったにもかかわらず、なんと第一志望のその大学の受験を棄権してしまったのだそうです(この事実は、今回初めて教えてくれたことでした)。


棄権した理由は、もし今回もその大学の入学試験に不合格だったら「自分は立ち直れないだろう」と思ったからです。すでに第二志望以下の大学からの合格通知はもらっていたこともあり、「失敗するかもしれないのがいやだ」という自分の消極的な気持ちに負けてしまったのです。



これは20年以上も前のことですが、今聞いてもとても身につまされる話ですよね。私がもし当時のYくんと同じ立場だったらやっぱり試験を受けなかったかも知れません。愛を告白したいけれど、もし振られてしまったら悲しすぎる。こう思って、片思いの相手に自分の気持ちを打ち明けられなかった10代の頃の弱気な自分をつい思い出してしまいました。


Yくんは後になって、その憧れの大学を受験しなかったことを大いに後悔しました。今でも後悔の念を持ち続けています。しかし、おかげで、「やれたことをやらなかったこと」がどんなに大きな後悔をもたらすかを身をもって知ることができました。以来、彼は、さまざまな人生の局面において常に積極的に行動するようにしてきたそうです。このことが現在の成功につながっていることは疑う余地がありません。Yくんは20歳そこそこで、「やらない後悔ほど大きいものはない」という人生におけるきわめて重要な「学び」を得ることができたというわけです。


私も、20代前半までは、傷つくことを恐れるあまり一歩を踏み出すことができませんでした。このため、消極的な行動が多かったように思います。しかし、なにかのきっかけで、「やらない後悔はしたくない」という気持ちが生まれて、積極的な行動が取れるようになりました。最近は、よく考えずに直感で行動するものだから、あれこれ手を広げすぎて首が回らないほどです。積極的になり過ぎるのも問題ですね(笑)。



さて、後悔したくないからと積極的に行動すると、当然「失敗」が増えます。笑われたり、叱られたり、罵倒されたりして大いに傷つくことになります。でも、「やらない後悔」よりましです。


「やらない後悔」より「やって反省」


です。やって失敗したら、その後しっかり反省すればいい。そして、どこが悪かったか、問題だったかを直視して、自分の行動を修正するようにすれば、次に成功する確率は確実に高くなります。以前、「心の筋トレ理論」で書いたように、「傷つくこと」によってあなたの心はよりいっそう強靭になります。また、「失敗することでしか見えてこないものがある」「失敗して賢くなる」で指摘したように、「失敗」こそがあなたを成長させてくれるのです。


「やらぬ後悔」より「やって反省」。今後、行動にちゅうちょするようなことがあったら、この言葉をぜひ思い出してください。特に、片思いの人がいる人、思いを伝えられなかった後悔は一生続きますよ。今すぐアタックせよ!


(キャリア・アドバイザー 松尾順)