本気モード


社会人になって3年目くらいでしょうか,本格的にジャズを勉強しようと思い,とあるプロのジャズ・ミュージシャンに習っていたことがあります。その時は漠然と「プロになれたらなぁ…」と考えてもいました。ただうまくなるだけではなく,ジャズという音楽をとことん追究してみたかったという気持ちも強かったのです。


ある日のレッスン中に思い切って先生に相談してみました。
「プロになりたいと考えています。このまま練習していくだけでいいのかどうか不安です。具体的にどんなことをすればいいのでしょうか?」


その時の先生の答えが印象的でした。


「どうやったらプロになれるか,って…? 考えたこともないなあ。オレ,気がついたらプロになってたし…。アマチュアの頃は無我夢中だったというのもあるけど,『絶対プロになるんだ』という気持ちしかなかったよ。あとは練習かな。毎日10時間くらい弾いてたね」


もちろん,いろいろ悩みもあったそうです。でも,それは演奏(表現)面で壁にぶつかるといった類のことだけで,モチベーションが下がったことは一度もないとのこと。まあ「相当好きだった」んでしょうね。好きでなければ続かないです。


「僕は,生徒に『どうやったらプロになれますか?』と聞かれたら,『なりたいと思えばなれます』と答えるようにしているよ。答えになってない,と思われるかもしれないけど…。プロになろうかどうしようか,などと迷いのある人には『やめておきなさい』と答える。つまりね,プロになる人というのは,放っておいてもプロになる。仮に誰かがそれを阻止しようとしたとしても,絶対なるもんだよ。"本気モード"の人にはかなわない」


「本気になる」ということは結構大変なことですよね。今も「本気モード」全開で演奏活動をするその先生は,とにかくエネルギッシュ。ほんと,本気の人間にはかなわないです。そしてやっぱり私はいまだサラリーマン…。今でもずっと練習(研究)していますが,本気の度合いが違うっていうか。まだまだですね。


(アンザイ)