組織を変える歯車になれ


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


「どうせ、俺たちは組織の歯車に過ぎないからなあ!」


サラリーマンの典型的な愚痴のひとつですよね・・・。


私もサラリーマン時代に、上からの命令に対して、たとえ自分としては不服でも従わざるを得ないことに、心の中でこの言葉を何度つぶやいたことか。


実際、自分の意思に反した行動をやらなければいけないのはつらいものです。でも、会社の方針や会社全体の決定に基づき、社員一人ひとりがまさに「組織の歯車」として自分の役割を果たさなければ企業は回りません。この点で、個人の意思よりも、組織の意思が優先されるのは仕方のないことでしょう。


しかし、だからといって、食品会社の製造日偽装など、このところ次々と明るみになった不祥事を見ていると、企業ぐるみでの「反社会的な行為」の歯車としても、社員が素直に振舞うべきなのかはおおいに疑問です。




そもそも、本物の「歯車」は、エンジンやモーターなどの動力機関の動きを伝えるための部品にしか過ぎず、動力機関の動きに合わせるだけしかできない受身の存在ですよね。しかし、私たち人間は、自ら動くことのできる「自律的な歯車」です。


その気になれば、「会社エンジン」の動力に逆らって歯車を止めたり、あるいは逆回転することだってできます。もちろん、一人の歯車だけでは、なかなかパワフルな会社エンジンに抗うことは難しいでしょう。でも、同調してくれる仲間の歯車が増えてくれば、状況が変わってきます。そして逆回転しようとする歯車社員が組織のあちこちに広がっていくと、いつかは会社エンジンでさえ逆回転せざるを得なくなる時がやってきます。




こうした社員の歯車の力は、反社会的な行為にとどまらず、沈滞しきった企業風土の中で、だらだらと惰性で回る会社エンジンをもう一度加速化させ、活力ある企業へと再生させる場合にも有効です。


最初は、多くの社員が「そんなにがんばったって、しょせん無駄。この会社は変わらないよ」などと言うでしょう。しかし、そんな心無い言葉にもめげず、なんとか歯車を早く回そうとし続けると、賛同者がだんだんと増えてきます。そして、全社員の2〜3割ほどが歯車を早く回すようになると、確実に会社は変わり始めるのです。


会社勤めをされている方にとって、キャリアを積む場は企業組織。そこが、不正を働く場であったり、活気のない場であったら、キャリアづくりにはマイナスですよね。会社エンジンを適切にきちんと回し、よりよい方向へと組織を変革できる「自律的な歯車」になりましょう。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)