変わるもの,変わらないもの


以前のブログで私は音楽が好きという話をしましたが,私は楽器にもこだわりがありまして…お店で売っている既製品には飽き足らなくなって,「完全ハンドメイド」で作られる楽器に強く惹かれるようになったのです。


手作りの楽器の何に憧れるかといえば,その「職人魂」です。量産品では決して真似のできない「味」「こだわり」があります。そんな職人たちの中で,二人の職人の印象的な言葉をご紹介したいと思います。
(※お二人とも同僚や弟子などはおらず,すべての工程を完全に一人でこなす本当の職人です。)


Aさん(ラインナップはただ1つ。この1品だけで業界の第一人者です)

「私は基本的に1つの製品(モデル)しか作りません。他のモデルは作らないのかって…?作りません。なぜなら現時点でのものが私の出せる最高の作品だからです。ベストだと信じて作っているわけですから,これ以上のものは存在しない…と考えています」

Bさん(複数のラインナップを持っていますが,モデル数はずっと同じ。ただし仕様が毎回変わります)

「私はそのつど自分のもてる最高の技術を出し切って作っています。しかし,一度たりとも満足したことはありません。いつも,『どこかもっと改良の余地があるのではないか…?』と気になって仕方ありません。それで,次はその疑問点を克服しようと追究しながら作るわけです。この繰り返しですよ」

Aさんについて。
「これは最高のもの」と自信をもって出せるというのはなかなかできることではありません。実際,それが世に認められているわけですから,この人は「本物」です。「心に濁りはない」わけですよね。ひたすら,自分の信じる最高の作品をつくり続けるだけ。潔いと思います。


Bさんについて。
この方の素晴らしいところは,「常に現状に満足していない」ことだと思います。いろんなことを試して変えていこうとする。「変えることは良いことだ」と信じているんですね。極論すれば,現状に満足しているということは,そこから先に進もうとしないことの現れでもあるのかもしれません。


さて,ここまで読んで,あなたはどちらの職人の生き方に共感しますか? Aさんのような人は,時代が変わると置いていかれる危険がありますが,私はどちらかというとAさんのような頑固な人が好きですね。何十年も1つの味にこだわり続ける老舗の蕎麦屋のような…。ただ,今の世の中,生き残る確率が高いのはBさんでしょうね。


(アンザイ)