身近な時事ニュース 行政書士講座〜一般知識〜


資格取得を目指すときは、まず法律科目の学習から始めると思いますが、世の中で話題に上がっているトッピクスについても「へぇ〜」「なるほど」と、日々関心を持ちながらニュースを見たり聞いたりしていきましょうね。


今週は、話題になっている「税源移譲」について皆さまのアンテナの一つに加えてください。

税源移譲により、ほとんどの方は、1月分から所得税国税)が減り、そのぶん6月分から住民税(地方税)が増えることになります。しかし、税源の移し替えなので、「所得税+住民税」の負担は基本的には変わりません。

(参照:総務省HP)

例えば、年収500万円の夫婦で子供2人の家庭の場合、
税源移譲前の税負担は、所得税119,000円、住民税76,000円の合計195,000円で、
税源移譲後の税負担は、所得税59,500円、住民税135,000円の合計195,000円となり、
合計額に増減がありません。


ただ、多くのマスコミで取り上げれているとおり、税源の移譲定率減税廃止が一緒に行なわれるため、その部分については、実質増税ではないか、と言われています。それは、定率減税を行う際に「恒久的な減税」であるとしていたことから、特例措置の廃止ではなく、実質的には増税であるとの認識に立つものです。


◆参考
1999年〜 所得税の20%、住民税の15%相当額を定率減税
2006年1月〜6月 定率減税を半減
2007年1月〜 所得税の減税、所得税定率減税廃止
   6月〜 住民税の増税、住民税の定率減税廃止
      (住民税は前年の年間所得をもとに翌6月から徴収) 


感覚的には、


所得税マイナス」+「住民税プラス」+「定率減税廃止」=増税


となるようですね。



問題点として、少し見方を変えるならば、この点以上に問題となっていることがあります。


税源の移譲という手法は、地方交付税交付金と違い、所得の再配分機能がないため、平均所得の格差が税収の格差に繋がり、都市部と地方の格差を拡大させてしまうという点です。


現実の問題として、都市と地方の格差は、財源不足に陥った地方公共団体が、病院やバスといった施設を廃止するなど、市民生活にも大きな影響が出ています。



そこで、現在、次の二つの解決策が、考えられています。


一つは、ふるさと納税制度であり、地方自治体の自主性を高めるという「三位一体の改革」の理念を前提に、納税者の意思により、自分が生まれ育った地方に住民税の一部を納税できるという制度です。この制度には、税収の安定性や、収税コストの点で問題がありますが、地方自治体の自主性に配慮した制度といえます。


もう一つは、必要最低限の財源は、国が負担するという解決策です。例えば、昨年問題になった義務教育費の国庫負担の議論において、このような視点から議論がなされました。この解決策には、義務教育費の国庫負担の議論で明らかになったように、誰がどのように、何が「必要最小限の財源」であるかを判断するのかが、明確でない点にありますが、地方自治体の財政の安定に配慮した制度といえます。


地方分権の問題を考えるときには、「自主性の確保」の視点と「生活の保障」の視点のバランスをどのようにして図っていくのかが重要になります。色々考えればキリがないですが、わたしたちが生活を送っている地域→地方自治体等の活動にも少しずつ注目していきたいものですね。


身近なところでは、地域の広報を読んでみましょう。


(たかい)